西郷国際特許事務所

執筆の部屋
Q:「特許などの産業財産権を出願依頼する際に
気をつけるべき点は何ですか?」
A:
ここでは、多忙でしかも人手がないという中小企業の方々の状況を勘案して述べてみます。
第1に、
一刻も早く特許事務所に相談することが重要です。懇意の弁理士に、なぐり書き一枚でもよいので、まずファックスなりメールで相談を早めに持ちかけるのがよいでしょう。これは、一つには、先に特許出願をした人に権利を与える主義(先願主義)を日本も採っているからです。二つ目には、競合会社などにより、同様の発明が公表されるおそれがあり、特許を取るための条件である「新しさ(新規性)」や、「斬新さ(進歩性)」が失われる危険が増大するからです。
第2に、
「出願前に似たものがないかどうかの調査」を勧める方もいますが、それはムダだと思います。なぜならこの調査は、「世界中のどこにもない」ことを証明する調査だからです(世界公知の問題)。アメリカの片田舎にでもあれば、ダメなのです。このような調査が可能だと思いますか? 中途半端な調査しか出来ず、それで数十万円もかかるのです。その業界のプロであろう発明者であるあなたが無いと思うなら、即、出願すべきです。費用的にも時間的にも結局得です。
第3に、
「出来るだけ資料をそろえて依頼すべき」だといわれます。しかし、日々、仕事に忙殺されている方々に、このような過重な要求をすることは、やりすぎではないでしょうか。「こう作ったから(構成)、こんなメリットを発揮できるようになった(効果)」と説明するだけで、カンのいい弁理士なら、充分に書類(出願明細書)作成ができます。ぐたぐたと説明を聞かなければ書けない代理人は、それだけで落第でしょう。
第4に、
「技術の説明は、従来技術(発明以前まで使われていた技術)と対比して」という要求もなされます。これも、過重な要求でしょう。対比しにくい場合が多いからです。「以前のモノは知らないが、このようにしたら随分便利になった」というものが多いからです。
そして第5、最後に、
「発明を生かすも殺すも明細書しだい」であることを、肝に銘じていただきたいのです。「あれも人これも人だと人はいう」ほどのヒト違いで、結果が大きく変わるのです。
なお、この明細書であるが、私は、それに盛り込む内容について是非申し上げたいことがあります。この件については次回に。
以上
東京商工会議所機関紙「東商」 2005年5月10日掲載 西郷義美 執筆
